倫理は新型コロナウイルスに勝るか?

緊急事態宣言が出てからも猛威を振るっている新型コロナ。感染から発症までの潜伏期間を考えるとソーシャルディスタンスの効果が出るまでには2週間程度の期間がかかると言われている。グローバル化により世界的な人や物が行き来する現代社会では、世界的な感染対策が求められている。しかしながら、現状では各国の対応をバラバラで統一的な対応が行われていない。この緊急事態に際して、我々はどの様な行動を選択すべきでしょうか。世界的な問題ですが、実はローカルなレベルでも同様の問題があります。「コモンズの悲劇(共有地の悲劇)」と言われている問題です。自由にアクセスできる共有地がフリーアクセスのために荒れたり、資源が枯渇したりする現象です。この問題の対策として、行政による統制や個人の所有による管理により問題を解消する方法。それから、地域社会による自主的な管理としてローカルコモンズによる管理が効果を示したとの報告もあります。新型コロナも一部の国が行っている強制的な制限、国を越えた世界的強制力や超法規的な措置をとることが有効でしょうか。この考え方は世界を一つの秩序の下に制約するという全体主義的な思考ですが、現実的ではありません。国や宗教、民族間の対立は歴史的現実でコスモポリタン的な思想は現実からは隔たりがあるように感じます。各国が独自の対応を取りつつ世界として一定の方向性を目指す多元主義的な思考で解決すべきなのでしょうか。外圧的な制約と共に我々が考えなければならないのは、人間が持つ倫理観や道徳観といわれる共通意識の存在です。個々人の倫理観や道徳観は個人的な素養でそれを社会のルールとして用いることは難しいと思われますが、人類が最終的に破滅に向かうのか共存共栄の道に進めるのか。この選択は、全人類は持つ共通認識が自身のために他者を排斥するか共存共栄を目指すのか本能的な選択の関わっていると思います。外圧的な制約も、所詮は個々人が様々な制約の下で構築してきたものです。今回の世界的な危機について、自身の心の声に耳を傾け、自身が行うべき行動を再考すべき時だと思います。